「新品同様になっていて、おお!」
新品同様になっていて、おお!と古い物だとわかっているのにびっくりしました。金具の仕上がりもきれいで周りともしっくりしています。本当にありがとうございました。春物の服にあわせてさっそく使います。
10数年前に買ったイタリア製のクロコダイルバッグの持ち手が、一箇所はずれてしまいました。革に傷みは少々ありますが、まだまだ使えるので 当初は修理を考えたのですが、よくよく見ているうちに、うまく修らないのではないかという気がしてきました。
上部4角に金属の飾り金具が角を覆うように付いていて、その金具に壊れた持ち手の金具がとめてあるのです。オリジナルの金具の様に見えますし、修理に出すといっても、以前住んでいた他県の某デパートで購入したもので、そのデパートも倒産してしまって今はありません。 そんなこんなで修理を諦め、といってすぐ捨てるのも忍びなく クローゼットの奥に仕舞い込む事となりました。半年程後、全然関係無い事をネットで検索していて、偶然プリマベーラさんを見つけ、さっそく送って頼んだところ、現存するミラノのメーカーの物とわかり直接問い合わせてくれました。しかし、年月がたちすぎていて金具の在庫 はないとの事、オリジナルで特殊な使い方をしてあるようで、残念ながらミラノの他の工房にもありませんでした。そこで数ある日本の金具のなかから似たようなのを探して くださったのですが、ぴったりというのは無かったのです。
ここであきらめずにお取引のある金具メーカーの職人さんと考えて下さったのが次の様な案です。規格品の金具の両端にロー付けでリングを取り付け、そのリングと本体に今付いてる金具に細い棒を 通して止めるという方法です。オーダーで金具を作るのに比べ格段に安くでき、画像でサンプルを見せてもらいましたが、 とても良くできている様でしたのでこれでお願いしました。
金メッキも海外の物とは 色合いが違う為、やりなおしてあるとの事でした。今はこの様な修理のできる熟練の職人さんが少なくなってきているそうです。仕上げの細部までチェックが終わり、いよいよバッグ到着。知らない人が見れば最初からこうだったと信じられる程違和感がありません。しかも前よりも しっかりして安定しています。これだけ手間と時間をかけてもらって修理代は一箇所6300円でした。同じ側二箇所のみのお修しです。
これも提案された時は目から鱗でした。漠然と四箇所全部交換しなきゃいけないような気がしていましたので。確かに同時には見えないし、何ともなっていない物を皆とってしまうのももったいないです。新しい物を買った時は新鮮な気持ちになれますが、古い物を大事に使い続けるのは心が豊かになれるような気がします。甦ったこのバッグも大切にしていきたいと思います。
東京都港区 S.H様