「イタリアファッションを見れば流行の方向性がわかる」といわれるほど現代のファッションのトレンドセンターになっているイタリアですが、すでに半世紀以上も前から皮革製品の伝統と技術面では、「バッグと靴はイタリア製が一番」と言われ続けており、ブランドシンボルとしての歴史は、非常に長いのです。　皆様がよくご存じの有名ブランド、ベルサーチ、フェラガモ、グッチ、プラダ、フェンディ、ボルボネーゼ、アルマーニ、ボッテガベネタ、ロベルタ、等は勿論ですが、フランスやドイツの数多くの大手ブランドも生産国として昔から、イタリア職人の腕に生産を１００％依頼しています。
ファッション業界では一級品を産む巨匠（熟練工）の国として世界中で高く評価され続けています。

現在、毎年世界中のショーウインドーにいち早く陳列される流行の皮革製品の総生産のほぼ４分の一は、まさにイタリアから生み出されています。
地球上の隅々から皮革素材がイタリアに集まり、入念に加工され、ファッションの未来の主人公になります。　季節ごとに、スタイリスト、デザイナー、ファッションクリエイターたちに演出される素材は、数千社のネットワークを校正する複雑な生産システムから生み出され、生産プロセスは極めて高度な、ノウハウを有している歴史ある多数の企業に分担されています。

歴史

イタリアの皮革製品産業システム、それは比類なき歴史のトレードマークです。生産地域の個性を見分ける商品アイテムの一つにバッグが挙げられます。

その加工の技術、特殊性でその製品がどこで作られたか、間違いなく見分けられます。　それは全くトレードマークと同じ役割を果たしています。
イタリアの皮革製品産業のトレードマークは、昔の写本の製本芸術の根源まで遡ります。　紀元後５００年頃すでに、トスカーナ地方では、布地、羊皮紙、革の表紙が用いられ見事な作品が存在していました。　こうした革細工は、数１００年後、最初の商業中心地が栄える頃、ハンドバッグ、スーツケース、ベルト等の皮革製品の基礎となりました。

よって中世において、イタリアは皮革製品の生産と手仕事による創作デザインとして名高くなり、１２１０年頃からすでに存在していたボルサーイ（鞄作りの職人）たちの仕事場では、その職人芸術家たちのもとで大勢の弟子たちが働いていました。

こうした形態はすでにルネッサンス期に頂点に達していました。

当時、ミケランジェロ、ドナテッロ、ブルネレスキ、など数多くの天才たちが誕生し、皮革製品の職人たちも隣り合わせで腕をふるっていました。

それは単に国内市場だけでなく、イタリアの輸出のかなり大きな部分を占めていくことにもなりました。　と同時に素材は国内でけでなく当時の全世界、すなわち、北部アフリカ、パレスチナ、東ローマ帝国、アルプス等、彼方の国々からイタリアに入って来るようにもなり、彼らの皮革産業をゆるぎないものとしていきました。　そして今日に至るまでその歴史にはぐくまれた、豊かな才能から生まれる創造の美と優雅さは、限りない源であり続けています。

スタイルの革命

７０～８０年代に起こったファッションの革命は伝統的な装飾の型から解放され、皮革製品業界は、スタイリストとファッションクリエイターから生み出される新しいスタイルへと創造性を表現するようになりました。

イタリア皮革産業は、これらを素早く受け入れながら、伝統的な生産システムを守り続け、無数の中小規模の職人の店は、各々の細工に磨きをかけながら、ブテイックとして皮革製品業界のリバイバルを世界的にスタートさせていくことになります。　これらは伝統から受け継がれた細工の多くが、さらに磨きをかけて蘇ることにもなり、現在も５０００社を超える企業の財産となっています。

こうしてイタリアの皮革製品は、素材の美しさ、技術の高さでも世界的に知られる存在となっていきました。

ファッショントレンドの国

ファッションの絶え間ない革新が繰り返される中で、競争の激しい業界をリードしていくということは、その背後にそれを可能にする豊かな資源と才能があることを意味します。

イタリアでは１９５０年代にはすでにメイドインイタリーのトレードマークを世に出す目的でショーなる催しが行われていました。　それは今でも引き継がれ、イタリア各地でファッションに関するショーや見本市が開催されています。

将来のファッション、トレンドを形成する傾向とスタイルは、こうして世界に比類のない文化、芸術、職人的な手仕事、人間らしさの融合から生み出され、ファッションにとって理想的な舞台、すなわちイタリアから生まれてくるようになりました。　歴代伝わる知恵と、自らの創作を見事に表現する職人たちの技は、単なる皮革製品のトレンドではなく、イタリアに咲く見事な芸術の一つともいえます。　又彼らはそれをプライドとしてではなく、豊かな幸福に満ちた才能に感謝し、彼らの製品を通してすべての人々をやさしい人間愛で豊かにしたいと願ってもいるのです。　これら全ての資質が私たちを魅了してやまないトレンドとなっていくのでしょう。